豪流 (44)

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18 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2014/06/16(月) 20:23:21 ID:Vc6ojr4Y

書き上げた日記はかばんに仕舞う。
そして、ふとポケットに手を突っ込んだら携帯電話がない。
事務所に忘れてしまったか。取りに戻らねばならないな。駅の目の前にまで来ていたが、携帯電話は肌身離せない。何せ自分の専門分野はネットであるからだ。

重たい体を引きずって事務所に戻った。
携帯電話は仕事机の上にあった。
電源を点け蛍のように光る画面に映る着信と言えば自分を中傷する返信のみ。
目を閉じ、それを遠ざけるようにポケットに突っ込む。
再び事務所に鍵をかけ、階段をカツカツと降りる。
あたりはすっかり真っ暗だ。
時計に目をやる。
別に帰宅に焦ってるわけではないがなにか胸騒ぎがする。

事務所を最初に出て帰ろうとした時と何かが違う気がする。日の傾きなんかじゃない、何かが。
六感が訴えかけていた。


得体の知れない胸騒ぎの正体を探す。

床、天井、観葉植物、

何一つ変わった様子はない。

だが惹きつけられるように目に止まったのは事務所の郵便受けだった。
以前にも、シールを貼られ悪戯されたことを思い出す。

しかし、何も貼られていなかった。
それでも郵便受けが気になって仕方がない。
まさか中に。ダイヤルを焦る手先で回す。

ガチャリと音を立てて、小さな戸は開いた。


中の暗い暗い底には赤い封筒が眠った待っていた。


(続)