8 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2014/05/06(火) 16:26:20 ID:unvrWOwk
女の子は恐怖に震えているのか、下を向いています。
自動車の主に顔が見られないようにと隠しているのかもしれません。
きっと、自分のもとを通りすぎてくれと願っていることでしょう。
しかし、その自動車は女の子の隣で止まります。
中から黒いスーツを着た男が出てきて彼女に話しかけます。
胸元にはなにやら怪しく光るバッジが一つついています。
「君は、千尋ちゃんだね」
千尋ちゃんと呼ばれたその女の子はは地面を見つめたまま、小さくコクリとうなずきました。
きっと恐怖で声がでないのでしょう。
千尋ちゃんに話しかけた男の顔は、あたりが薄暗いせいで見ることができません。
「よかった、それだったらこの自動車に乗りなさい」
そう言うやいなや、その男は千尋ちゃんの体を抱き上げ、無理矢理に自動車へとのせました。
「私が誰か分かりますか」
まさか、私たちの悪い予感は的中してしまうのでしょうか。
いえ、もしかしたらこの男の人は千尋ちゃんのお父さんかもしれません。
でもそれだったら千尋ちゃんがビクビクする理由も、男が無理やり彼女を抱き上げる理由もありません。
「ははは、私はね、今巷を騒がしている暗黒弁護士だよ」
ああ、やはりこの男はあの暗黒弁護士だったのです。なんということでしょうか。
暗黒弁護士が自動車で、闇に紛れて千尋ちゃんをさらいに来たのです。
薄暗ければ顔を誰かに見られる心配もありません。きっと、そういうことまで考えているのでしょう。
「では、千尋ちゃん。君を案内するよ。私の自慢の暗黒庭園へと」
そういって、男は千尋ちゃんに目隠しをし、手足を縛り動けなくしてから自動車を発進させました。
この後、千尋ちゃんは一体どうなってしまうのでしょうか。
そして暗黒弁護士の言う暗黒庭園とは一体何なのでしょうか。
亮太くんの件を任せてくれと言った厚史少年は、今何をしているのでしょうか。
自動車は低い音を出しながら、その暗黒庭園へと向かって進んでいきます。
(次号へ続く)