暗黒庭園 (92)

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41 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2014/05/22(木) 19:19:12 ID:oWlq9DKY

厚史少年をさらった、暗黒弁護士一味の乗り込んだ車の中です。
厚史少年は両手足を縛られ身動きが取れずにいます。
警官姿の暗黒弁護士が運転席に乗ってハンドルを握り自動車を走らせています。
後部座席には暗黒弁護士の仲間でしょう、こちらも警官扮した男が、
厚史少年にピストルを向け抵抗ができないようにして乗っています。
「フハハハ。どういう気分だね。一度は出し抜いた相手に、こうやって出し抜かれるのは」
ハンドルを握った暗黒弁護士が上機嫌で厚史少年に話しかけます。
「ああ、ごめんごめん。口を塞いでいるからなにも話せないか」
完全に厚史少年を小馬鹿にしているではありませんか。
暗黒弁護士の仲間は、厚史少年にピストルを向けたまま、
ときおり窓からもう片方の手と顔を乗り出して何かを伺っています。
「どうだ、尾行はされていないな」
暗黒弁護士は尋ねます。
どうやら、後部座席の賊は、後をつけている車や人影がないかを確認しているようです。
後ろには車はないだという答えを聞いた暗黒弁護士は満足そうに微笑みます。
「木を隠すならなんとやらというだろう。逃げるには大勢やってくる警官に変装するの一番なのさ。
薄暗い中で顔もあまりはっきりとは確認できないからね。どうだ簡単に騙されただろう」
暗黒弁護士は前を向いたまま、厚史少年に対して説明を始めました。
「こうやって騙された方法について聞くと、なんて自分は馬鹿だったのだろうと思うだろ。
私もね、君に騙され、そして縛られ思ったよ。
しかし、君が私一人しかいないと思ってくれたのはありがたかった。
勝手に思い込んでくれなければ逃げ出すことは出来なかったからね」
なんと悔しいことでしょうか。この賊の演説に対し、口を封じられた厚史少年は言い返すこともやり返すこともできず
ただ黙ってそれを聞いていることしか出来ません。
自動車はゴトゴトと揺れながら進んでいきます。
「これから君を紹介するのは、本当の『暗黒庭園』だよ。
さっきの屋敷は、まあ準備小屋みたいなものだね。
そして感謝し給え。君こそが『暗黒庭園』の第一の客人にして、第一の展覧物になるのだから」
一体、暗黒弁護士の言う展覧物というのはどういうことでしょうか。
厚史少年は人間です。展覧物と呼ぶのはおかしいではありませんか。
ああ、もしや、厚史少年は賊の手によって命を奪われ展覧物にさせられてしまうのではないですか。
いえいえ、そんなのは悪い想像です。
しかし、それがないと言い切ることも出来ません。
厚史少年の運命はどうなるのでしょう。
そして、厚史少年がこの一大事のときに、我らが唐澤先生は一体何をやっているのでしょうか。

(次号へ続く)