40 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2014/05/22(木) 19:00:11 ID:oWlq9DKY
厚史少年が賊の手によって捕まり、連れ去られてからしばらくが経ちました。
屋敷で捜索を続けていた山内刑事や警官たちも、厚史少年がいなくなったことに気が付きます。
「おや、そういえば厚史くんはどこにいるのだ」
みんなで集まり、厚史少年の居場所について話し合いますが、誰も見ていないと答えます。
ここで、ハッと山内刑事は思いました。
「もしや暗黒弁護士によって連れ去られたのではないか」
まさか、唐澤先生の一番弟子で、有能な厚史少年のことです、まんまと賊に捕まるなどとは考えれません。
しかし現実にその場にいないのですから、山内刑事たちも厚史少年が賊の手に落ちたと考え始めました。
「厚史くんがどこにいるかみんなで探すのだ」
山内刑事は周りにいる警官たちにてきぱきと指示を出します。
こうなったら暗黒弁護士を捕まえることよりも、厚史少年の無事を確保するほうが大事です。
彼は今まで唐澤先生とともにいくつもの事件の解決に貢献してきましたし、これからも貢献してくれるであろうからです。
この長谷川くんの事件にしても、厚史少年なしでは解決されなかったでしょう。
なにか手がかりはないのかと歯ぎしりをして待つ山内刑事のもとに一人の警官がやってきて報告をします。
「明らかに子供のものと思われる足あとが、あちらにありました。
追いかけたのですが途中でなくなり、そこには自動車が発進した痕跡があるだけでした」
これはつまり、厚史少年が誘拐されたということを意味します。
それを聞いた山内刑事は落胆しましたが、しかしすぐに切り替えてその場にいた警官たちに命令を出します。
「これは大変なことになったぞ。そうだ、唐澤先生を呼ぶんだ」
こういう時に頼ることができるのは唐澤先生です。
もしかしたら先生だったら、厚史少年の居場所を把握しているかもしれません。
おや、しかし様子が変ではありませんか。
「おい、先生はどこにいるのだ」
山内刑事が顔を真っ青にしてあたりの警官に尋ねます。
しかし、誰も首をふるばかりで、唐澤先生がどこにいるかはわかりません。
「ああなんてことだ。唐澤先生までもが賊に捕まったのか」
なんということでしょうか。最悪の事態になったではないですか。
厚史少年がさらわれ、あろうことか唐澤先生までもが姿を消してしまったのです。
いえいえ、しかし待ってください。
あの名探偵、唐澤先生がそうやすやすと賊に捕まるでしょうか。
賊をギャフンと言わせる一手を、先生ならば打っているかもしれないではないですか。
(続く)