暗黒庭園 (92)

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33 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2014/05/19(月) 22:55:09 ID:CbmCJhws

「この屋敷を家捜しするとなると、我々警察に任せて下さい。
さあ、徹底的に捜索し、卑劣な暗黒弁護士をひっとらえるのだ」
山内刑事が元気よく号令をかけ、部下の警察官たちに指示を出します。
おや、待ってください。それを唐澤先生が制止します。
「山内刑事、闇雲に探しても見つかりませんよ。
ちょっと考えるので待ってください」
そういうと、先生はじっと考え始めました。
こうなったときの先生の集中力には凄まじい物があります。
床のあたりを眺めながら、なにやら考えこんでいるようです。
「よし分かりました」
先生は何かを思いついたようです。
「あちらとあちらに警官をやってください」
指を指し、方向を指示し、山内刑事に命令をします。
山内刑事はそれに従い、警官隊にてきぱきと指令を出します。
「あ、そうだ、私もあちらを捜索したいのだが、人手が足りない。
彼を借りていいですか」
「ええ、もちろん。先生のためになるならいくらでもかまいませんよ」
先生はそう言うと一人の警官を呼び寄せ、奥の廊下へと消えていきました。
警官隊が捜索に出発し、部屋には厚史少年がいるばかりです。
そこに、一人の警官が息を切らしてやってきました。
「おいおい、今外で賊のと思しき足跡をみつけたぞ。おや、唐澤先生はいらっしゃらないのか」
それを聞いて厚史少年は顔がぱあっと明るくなります。
「本当ですか。僕が向かいます」
「いや、でも先生が同行したほうがいいのではないかい」
「いえ、大丈夫です。僕も先生の弟子ですから」
そう言うと、厚史少年はその警官に案内を急かします。
ここで賊を捕らえれば、一度取り逃がしてしまったことの汚名返上になるので、厚史少年は焦ってしまったのです。
観念した警官は厚史少年を連れて、屋敷の外へいきます。
しかし、しばらく歩き、暗く、他に人影が見えないところにいっても、その警官の言う足跡というのはありません。
「見つけた足跡というのはまだですか」
厚史少年もたまらず警官に尋ねます。しかし、彼はいきなり笑い出したかと思うと、持っていたハンケチで厚史少年の口をぐぐぐっと押さえつけます。
「ははは、まんまと騙されたな。私は警官なんかではない。お前の探している暗黒弁護士だよ」
賊は警官に変装していたのです。なんと大胆不敵な連中ではありませんか。
まさか警官の中に賊がいるなんて思いませんから、まんまとみんなは騙されてしまったのです。
厚史少年は手足をじたばたとさせ抵抗しますが、とても敵いません。
「見ろ、あそこに自動車があるだろう。そこで俺のツレが待機している。
その自動車に乗せ、お前を、本当に『暗黒庭園』へと連れて行ってやろう」
そうして厚史少年は、手足を縛られ自動車に乗せられてしまいました。
自動車は出発し、唐澤先生や山内刑事がいる屋敷はどんどん離れていきます。
厚史少年は、絶体絶命のピンチに陥ってしまったのです。
さあ、抜け出すことはできるのでしょうか。