暗黒庭園 (92)

←← 掲示板一覧に戻る ← スレッド一覧に戻る

21 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2014/05/14(水) 22:02:29 ID:BQozZYgU

どれくらい経ったでしょうか。太陽はもう沈んで、外は暗くなっています。
鉄格子の嵌められた窓から、そよそよと涼しい風が時たま吹き込んできますが、
人の話し声や自動車の音は聞こえません。
やはり、このあたりには人はいないようです。
厚史少年が「魔法をかける」と言ってから、既に二時間は経っているでしょう。
部屋にいるみんなも、お腹をすかせてうつむいて座っています。
厚史少年の登場で安心したみんなも、だんだんと不安になっているようです。
「ねえ厚史くん、いつになったら僕たちはここから出られるんだい」
亮太くんが厚史少年に尋ねます。
「さあね。いつになるかな」
なんともひとごとの返事ではないですか。
「そんな。君がすぐに出られるというから待っているのに」
亮太くんが反論しました。
「まあまあ落ち着いて。お腹が減ってる時にそうやってカリカリするのは体に毒だよ」
厚史少年は一体何を考えているのでしょうか。
「そうだ亮太くん。ご飯はどうしてるんだい。まさかずうっとなにも食べてないなんてことはないだろう」
厚史少年が尋ねます。確かに、みんな、ご飯はどうしてるんでょうか。
「それだったら暗黒弁護士が持ってくるよ」
「賊がもってくるのかい。いつくらいにだい」
「そろそろ持ってくるんじゃないかな」
厚史少年は懐中時計をちらっとみます。
そうして微笑みます。
「へえ、じゃあそれを利用しようか」
スカートの中をごそごそとし始めました。
どうやらなにかを用意しているようです。
みんなもそんな厚史少年の様子が気になるようで、そちらに注目します。
「あ、みんなは僕のことは気にしないでくれたまえ。いつもどおりいつもどおり」
厚史少年の「魔法」が、どうやら始まったようです。
一体何が起こるのでしょうか。

(続く)