暗黒庭園 (92)

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17 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2014/05/09(金) 14:49:38 ID:z67Tn5m2

「あとはここから脱出するだけだね」
厚史少年は不敵に笑います。
「でもどうやって出るんだい。逃がしてくれるとは思えないよ」
亮太くんは心配そうな顔をしています。
「僕に考えがあるからまかせてくれよ」
厚史少年にはなにかとびきりの策があるようです。
「さあみんな、ちょっときいてくれ」
厚史少年はその場にいるみんなに向かって話しかけます。
「よし、いいね。これから僕はこの部屋にある魔法をかけようと思う。
僕達をこの牢から出してくれる不思議な魔法さ。
もしかしたらみんなもその魔法に騙されて、あっとなるかもしれないけど、僕の指示に従ってくれれば大丈夫だよ。
この魔法をうまく成功させるにはみんなの力も必要なんだ。
とりあえず、僕が合図をしたら一斉に叫び声や悲鳴をあげてほしい。
暗黒弁護士のやつはきっと僕達の魔法に引っかかるぞ」
すかさず亮太くんが質問します。
「魔法っていうのはなんなんだい」
厚史少年も答えます。
「ははは、まだ話すわけにはいかないよ。
言ったとおり、君たちの力も必要だから、ちょっとはみんなもその魔法に騙される必要があるんだ。
あとのお楽しみにしといてくれよ」
みんな、一様に「一体何が起こるのかしらん」と不思議そうな顔をしています。
「ちょっとその前に下ごしらえが必要でね」
そういって厚史少年は胸元から何やら取り出します。それはなんと鳩ではないですか。
鳩の足に結ばれている小さな筒に、なにやら記した小さな紙をくるくると丸め入れます。
そうすると、窓の格子の隙間から鳩を外に出します。
「自動車で30分だから、まあ余裕をみてあと2時間ってところかな」
厚史少年はそうつぶやいたあと、みんなの方に体を向け語りかけます。
「さあみんな、2時間後が魔法の始まりだ。
きっと始まりの合図には誰かが気づくだろうから、気づいた人から叫んでほしい。
暗黒弁護士を罠にかけてやろうじゃないか」
一体、厚史少年のいう魔法とはなんのことなのでしょうか。
そしてそれはうまく成功するのでしょうか。
その場にいるみんなが期待と緊張とでドキドキしていました。

(次号へ続く)