暗黒庭園 (92)

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16 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2014/05/09(金) 14:33:36 ID:m0jBV3/6

しかし一体どうして千尋ちゃんと厚史少年が入れ替わったのでしょうか。
暗黒弁護士もあのとき、確かに千尋ちゃんかどうかを確認していたではないですか。
なにか仕掛けのようなものがあったのでしょうか。
「でも厚史くん、どうやってここまできたんだい。
あの暗黒弁護士が、唐澤先生のお弟子さんをわざわざ自分のところまで連れてくるなんて危険なことをするとは思えない。
それに女の子の格好をしているけど」
亮太くんも疑問に感じたのか厚史少年に質問をします。
「ああ、そのことかい。それだったら簡単なことなんだよ」
簡単なことというのは一体何なのでしょうか。厚史少年は先を続けます。
「暗黒弁護士によってさらわれた子どもたちの親の職業や、住んでいる地域を調べたんだ。
そうすると共通点が浮かび上がってきた。
そうすると、次狙われそうな子供というのにあてがつく。
今回は千尋ちゃんという女の子が狙われるだろうと推理したから、そのお父さんお母さんに相談して入れ替わっていたんだ。
毎日ひとけのない暗い路地で遊んで暗黒弁護士を誘っていたというわけさ。
すぐにさらわれるとは思っていなかったけど、案外あっけなくさらわれてほっとしているよ。
これでも僕だってかつらを被ってスカートをはけば女の子みたいに見えるだろ。
探偵には必須の変装術も駆使して千尋ちゃんに化けてみせたってわけさ」
ああ、なんということでしょう。最初から千尋ちゃんは千尋ちゃんではなく厚史少年だったのです。
それにしても、厚史少年の知恵と勇気には恐れ入ります。
次誰が誘拐されるかを予想してみせ、さらには自分が身代わりになってさらわれてみせるという離れ業をやってみせたのです。
物語の冒頭で厚史少年が長谷川氏に話していた「子供なりのやり方」というのはこのことだったのでしょう。
なるほど、子供に化けるのは同じ年頃の子供にしか不可能です。
さすがは厚史少年です。
みなさんもぜひ、彼の勇気と知恵とに拍手を送ってあげてください。

(続く)