23 - それでも動く名無し 2023/07/14(金) 18:24:52.07 ID:o9BxLIaga
【印象】ほんまにざっくり言うたら「ハウル」+「猫の恩返し(森田宏幸)」+「90年代〜20年代までに積み上げてきたセカイ系(庵野秀明,幾原邦彦,新海誠etc)」やなって思った
【作画】☆5:流石の一言やしめっちゃ凄い。スタッフもめっちゃ頑張ったんやと思う。アニオタやとおっと思うような有名スタッフが関わっててスタッフロールでお疲れ様やで…ってなった
【背景】☆5:最高やでほんま
【演出】☆4:仕上げ演出は言うことなく凄い。映像ぐう綺麗やった。絵コンテとしての演出ももちろん宮崎駿監督作品だけあって独創的でうわあ凄いなぁ…ジブリ見てるわぁ……って圧倒されるシーンもあった。
でもそれは直喩的な演出の部分で、今回の文芸作品的な暗喩演出してみたけどどう?みたいなところは正直わりと既視感があるというか、まあそういうメタファーはよく見かけるしベタベタよね?って思ってしまった
【演技】☆5:声優陣はマジで演技完璧やったと思う。いやほんまに凄い。例のサプライズ人事も純粋にジブリファンとして嬉しい
【音楽】☆4:世界に名だたる大御所だけあって期待を裏切らない仕事。特に今回は映像的に/展開的に激しいシーンの曲がかなり良かったと思う。ただ正直なことを言うと「海の見える街」「あの夏へ」「人生のメリーゴーランド」級のスマッシュヒットは今回はなかった
【主題歌】☆1:先に言っておくとヨネチャンはマジで悪くない。起用した人が悪い。ヨネチャンの曲自体はそれ単体で聞けば絶対素晴らしいんやけどなんかジブリ鑑賞後の気分とはちょっと違う。あとそもそも近年の大作は結構な割合でヨネチャンが登板してたけどジブリの主題歌って毎回ちょっと変わり種を起用してくるからそもそものキャスティングミスやと思う
【脚本】☆2:いつものパヤオ作品といえばまあそうなんやけどぶっちゃけほんまに意味わからんかった人もいっぱいいたと思う。上映終わって照明が明るくなった時に「えっと……まあ…うん……」って雰囲気が映画館内を覆ったように感じたんやがほんまにあの肌で感じた空気が全てやと思う。
作品内で主題に据えられているテーマも90年代に庵野、幾原、榎戸らが「新世紀エヴァンゲリオン」「少女革命ウテナ」で取り扱った「ボクはこれからどう生きればいいのか」「このセカイを肯定できるだろうか」であって、その主題はこの20数年間で「新劇場版」「輪るピングドラム」「涼宮ハルヒの憂鬱」「君の名は。」「天気の子」etcで繰り返し繰り返し問い直され続けた訳なんやが、ついに20年代に問題提起した張本人たちが完結作としてアニメでのピリオドを打ったこのテーマそのものを今更持ち出されてもなんか困るし、別にパヤオ独自の斬新な価値観の提示もなくまあ安牌にそういう感じで落ち着かせるよね、という見てて予想つく範疇の回答だったので正直厳しい。
ただ一点だけ評価できるのは、少女でも成人男性でもなく「未来少年コナン」「天空の城ラピュタ」ぶりにちゃんと少年の主人公(の成長)を描けたことやと思う。細田守の「(日本アニメの大御所に)少女ばかりを主役に据えて男を描くことから逃げている人がいる」という提起にその点では見事応えられていると思う。でも普通におおかみこどもの方が泣ける。(細田の提起はワイの主観を大いに混じえた大意要約なので決して原文ママではない。あと注釈すると細田は就活生の時点でパヤオから才能をめちゃくちゃに認められていて「ハウル」も当初は細田が監督の予定やったので、一口に批判といっても大前提にこの二者間にはリスペクトがあるやで)
主人公が何考えてるか分かりづらいって意見があるのはわかるけど戦時中に実母を亡くした男児の描写ってことでまあそもそも感情をあまり言葉にしない方の子っていう人物造形には違和感ないと思う。あとは普通に作中二番手にあたるキャラクターの掘り下げが浅すぎて正直なんか、もっとやりようなかった?って言いたい(役者の演技は良かった)
【総評】嫌いとかじゃないんだけど、なんか微妙。ワイの感想を一言で言うと「なんか微妙」。個人的にとして嫌いか好きかで言えば好きやが、映画として傑作か駄作かって聞かれたらまあまあ駄作寄りやと思う。
何よりワイの宮崎駿に対するハードルが上がりきってた、まあ今までの宮崎駿作品の中やとワーストちゃう?って思ってまうな正直、しかしそもそもそのハードルを上げ続けて応えてきた今までのパヤオが凄すぎるんやけども