650 - 名無しに会って話がしたいですを 2014/06/21(土) 11:59:32 ID:UmEH7S8A0
日本語の契約書を見ているとよく
「本契約に定めのない事項又は疑義のある事項については,甲乙誠実に協議し,解決するものとする」
といった文言が見られます。これを誠実条項といいます。
一方で英文の契約書をチェックしているときにはほとんど見られません。
ここには法文化の違いがあるようです。
特にアメリカにおいては,人種・民族・宗教が多様に入り乱れていることから
相互理解の基盤になるようなものが共有されていません。
そこで契約する際には紛争を避けるべくあらゆる事態を想定して逐一規定する傾向にあります。
そして文書化されていない合意は一切契約内容として認めないという
口頭証拠排除原則(Parol Evidence Rule)が適用され,
それを具体化するために以下のような最終性条項(Entire Agreement)が盛り込まれることになります。
「本契約は,本契約に含まれた事項についての当事者間のすべての合意を含んでおり,
当事者が署名した書面による場合を除き,修正することはできない」
したがって,誠実条項を盛り込む必要性がないことになります。
英文契約書を見ているとなぜこんなことまで規定する必要があるのかと首を傾げたくなることがありますが,
その背景にはこのような事情があるようです。
契約書をチェックする際にはこの違いをよく理解しておかなければいけないと肝に銘じています。