376 - ヽ ( (c :; ]ミノ 2016/12/14(水) 10:35:26 ID:LIByPV5H0
「お前、汚い爪してるな。帳簿をつける手がそれだと困る」
そう言うやいなや、会長と呼ばれた男は相手の男の右手をねじりあげ、床に伏し倒した。
「私が爪を切ってやろう」
そう言いながらシガーカッターを取り出し、人差し指にはめる。
「やめてください!お願いします!今度はちゃんとやります!」
伏し倒された男は見動きが取れないまま泣きながら叫んだ。
「今度なんかないんだ!今、お前がへまをしてくれたおかげで、私たちは窮地にいる!違うか?」
「ちがくありません!その通りです!」
この間、会長と呼ばれた男はシガーカッターをカチャカチャと指に傷がつかない程度に動かしていた。
「死人がでると言ったが、ヘマをした責任を取る奴も必要だ。そうだろ?」
「お願いします……お願いします……」
「私はチャンスを与えた。お前はそれを潰した。そればかりか、全体に迷惑をかけたんだ」
会長と呼ばれた男が、ふんと力をいれる息遣いが聞こえるとカチャンという金属音が響いた。
同時に男の絶叫も轟いたが、その声は部屋の外に漏れることはなかった。
「別に殺すとは言ってないだろ」
会長と呼ばれた男が、床に倒れた男を見下しながら微笑み言った。
倒れた男は、荒く息をしている。
「謝罪のための、持参品も必要なんだよ。手ぶらで謝られても許す気にはならんだろ?」
プラスチックで出来た容器をカタカタと振りながら続ける。
「お前が指を10本も提供してくれたおかげで、これから10箇所に謝罪に行ける。お疲れ」
会長と呼ばれた男は、ニタっと笑いながら部屋を出ていった。
(終了)