287 - ヽ ( (c :; ]ミノ 2016/12/14(水) 02:59:58 ID:Ih8eLqmo0
12月に入り、街はすっかり冬の装いを初めた。
街ゆく人々はコートやマフラーを着用しながら寒そうに肩をすくめ足早に歩く。
彼らは信号待ちの間、息を吐いて白くなるのをみては、もう冬だなと実感する。
クリスマスの装飾があちらこちらで始まり、正月用の鏡餅も売られ始める。
駅や街角では年賀状を売る光景が見られ、人々は今年の終わりと新たな年の始まりとをそこかしこに見出すのである。
誰もが幸せになる季節であるが、やはり寒さは身に堪える。
この季節、特に寒さを感じるのは朝である。
そんな朝、目覚めの一杯に私が愛飲するのはココアなのだが、私の飲むココアは普通のそれとはだいぶ違う。
コピ・ルアクを知っているだろうか。ジャコウネコの排泄物から未消化のまま出てくるコーヒー豆のことであるが、私はこれにヒントを得てココアを作ることにした。
ジャコウネコがどこで捕まえられるのかおよそ私には見当がつかぬので、ネコはネコでも人間のネコを捕まえることにした。
いたぶってやるといい声でなくネコである。
古くからの友人であり、ある意味ではライバルである彼を部屋に連れ込み、ココア専用サーバーとした。