931 - 核撃てば尊師 2014/03/07(金) 10:21:39 ID:ANOxiOjc
彼のことを覚えている人は少なかった。彼は人々の記憶から遺棄された人間だ。
死体遺棄は犯罪だが、記憶を遺棄しても犯罪にはならない。
彼は子供の頃から人付き合いが苦手だった。いっぽうで勉強はできたため、態度だけは尊大になった。
そして、尚更嫌われた。
大学に進学後もその性格は変わらず友達はいない、恋人など当然いない。そして、大学院に進んだ。
彼としては大学院を人間関係に煩わされず、純粋に1人で研究できる場所だと信じていた。
だが、大学こそ人間関係が重視される場所だったのである。
彼は、自分の担当教授の論文のミスを指摘した。彼としては純粋に学術的な間違いを指摘しただけだった。だが、教授は激怒した。
彼は冷遇され、研究者になる道は閉ざされた。その後は派遣社員として職場をを転々、
何処に行っても人と折り合いが付かなかった。そんな彼の愛情のはけ口が犬であり、楽しみが紅茶だった。そして、ネットでの批評で自分の自尊心を満たした。