311 - 塘懌䝿拝 2013/08/21(水) 11:51:33 ID:1qauOuPM
事実及び理由
第1 請求
主文と同旨
第2 事案の概要
本件は,原告が,電気通信事業を営む被告に対し,別紙情報目録記載の各情報の発信者に対し損害賠償請求権を行使するために,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任制限法」という。)4条1項に基づき,被告の保有する上記各情報に係る別紙発信者情報目録記載の各情報の開示を求めた事案である。
1 前提事実(証拠等を掲記しない事実は、争いのない事実である。)
(1)原告は,世田谷区池尻3丁目28番8号において,音楽教育を行っている株式会社である(弁論の全趣旨)。
被告は,電気通信事業を営む株式会社であり,プロバイダ責任制限法4条1項の「特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者」である。
(2)インターネット上のURL(http:<以下略>)で表示されるウェブサイト(以下「本件ウェブサイト」という。)は,様々な話題についての電子掲示板が集まった巨大掲示板群であり,インターネットの利用者であれば誰でも無料で希望の掲示板を閲覧したり新たに掲示板を作成することができる。
本件ウェブサイトの電子掲示板に投稿する際は,自らの氏名やメールアドレスなどの個人情報を登録する必要も記載する必要もないので,投稿者は匿名で記事を投稿することができ,利用者間でその投稿者が誰かが知られることはない。(当裁判所に顕著な事実,弁論の全趣旨)
(3)氏名不詳者(以下「本件発信者」という。)は,別紙情報目録記載の各投稿日時において,被告の提供するインターネット接続サービスを経由して,本件ウェブサイト上の同目録記載の各閲覧用URLの電子掲示板に,同目録記載の記事(以下「本件各記事」という。)を投稿した。
2 争点
本件各記事によって原告の人格権ないし名誉権が侵害されたことが明白か。
(原告の主張)
本件各記事はいずれも原告の社会的評価を低下させるものであるから,これらの侵害情報が流通することによって原告の人格権ないし名誉権が侵害されたことは明らかである。
また,本件各記事の内容は真実ではなく,事実の公共性も目的の公益性も認められないから,違法性阻却事由が存在しない。
(被告の主張)
本件各記事は,不法行為を構成するほどまでに原告の社会的評価を低下させるものではない。
また,別紙情報目録記載【2】の記事は,公衆のトラブルを未然に防ぐための注意喚起を意図すると解することもできるので,事実の公共性及び目的の公益性が認められ,真実性又は相当性に係る事情により,違法性阻却事由が認められる。