【イル・バサル】雑談★52【707年没】 (1000)

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161 - ムジャーヒド聖戦士 (sage) 2016/03/05(土) 23:56:07 ID:5pr5CryY0

1 名前:名前が出りゅ!出りゅよ![sage] 投稿日:2015/10/16(金) 19:11:08 ID:M/Sxgo/w [1/3]
「匿名という隠れ蓑を青年に与えるな」と社会に警告したのは、ショーペンハウエルであっただろうか。
Kは身に着けたスーツを脱ぎ捨てながら思わずそう考えずにはいられなかった。
父が呆然とした表情で自分を見ている。
同僚が口をパクパクとさせている。
ははあ、さては君、金魚の物まねをしているのだね?
Kの言葉に同僚は反応し、何か言いかけるがそれは彼の耳には届かない。

さあ、当職はもう自由の身だ。

スーツからむしりとったバッヂを口中に含む。鈍い金属の味。どこか懐かしい味。
それを飲み下すと彼は事務所の男たちに笑いかける。

――これこそが自由なのだよ、諸君!

勢いよく窓ガラスを突き破り、アスファルトへと垂直落下だ。
犬のように体を震わせ割れた破片をまき散らすと、彼は駆けだす。
玉袋がゆらゆらと揺れ、腹部の脂肪が彼の存在を祝福するかのように振動する。

――おお、自由闊達なるわが陰嚢よ!
――おお、自由闊達たるわが贅肉よ!

ぶるんぶるんと股間のいちもつを回転させ、Kは己を縛る牢獄すなわちT門から逃走してゆく。
空の色は青色だ。
当職の亀頭は薄桃色だ。
ああ、世界はなんと優しい色に溢れかえっているのだろうか!
これほどまでに美しい世界を、なぜ当職は見ようとしなかったのだ?
デスクに向かって小難しい文書を並べてたてるよりも、人が人に優しくなる方法はいくらでもあったのだ!
思わず喉から漏れた歓喜の声は、きっとファの#にちがいない。
なぜって、それこそが喜びの音程であり、また当職自身の歓喜なのだから!