3 - 核撃てば尊師 2013/07/10(水) 01:01:00 ID:jXLJj63q
洋一は完璧な自分に自惚れる様子はない。
どんなにテストの成績が良くても、野球でどんなに活躍しても、自慢はしないし、
私がどんなに至らないかを知りながら、嫌味を言う事も無い。
私と話すときは私の低さまで目線を下げて話を合わせる。
私は悔しかった。彼は良い奴には違いないのだろう。
ただ私には、その折られた膝が、下げられた目線が、屈辱以外の何物でもなかったのだ。
「お前の弟って凄いんだろ?なんでお前はそんなんなんだよ」クラスメイトの声。
「洋一は本当に凄いなあ!…貴洋も、まあ、もう少し頑張れよ」父の声。
「お前はダメな奴だ。生まれてくるべきじゃなかった。もうどうしようもないよ」僕自身の声。
私は学校に通うのをやめた。声を出すこともやめた。誰も私に寄り付かなくなった。