唐澤貴洋「洋一殺すナリよ〜」 (15)

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1 - 核撃てば尊師 2013/07/10(水) 01:00:27 ID:jXLJj63q

洋一は例によって自室に籠り机に向かって難しい顔をしている。
今日も日本トップクラスの難関大学の奇問悪門に四苦八苦している、といった所であろう。
都内でも有数の進学校に通っているとはいえ、中学生が解く問題ではない。
しかし、ものの数分も経てば、彼は設問の本質を捉え、そして閃き、ペンを走らせ、正答へとたどり着くだろう。
私には手を付ける事さえ億劫になってしまうような難問も、彼にとっては赤子の手を捻るよりも容易いものなのだ。


本当に憎い。カッターナイフを握りしめた右手に力が入る。
小さく開けたドアの隙間から覗き見える、挫折を知らない背中が何よりも憎い。
私は大きく息を呼吸を置いて、もう一度洋一の後ろ姿を眺めた。
瞼を下ろし、その背中に握ったカッターの突き立つ姿を想像する。
迸る鮮血、驚き震える洋一の怯えた眼。そして私はそれを落ち着いた気持ちで眺めている。


それは手にとる事が出来そうな程にリアルだった。
大丈夫だ、私は今日、初めて洋一に勝利する。