唐澤貴洋「洋一殺すナリよ〜」 (15)

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1 - 核撃てば尊師 2013/07/10(水) 01:00:27 ID:jXLJj63q

洋一は例によって自室に籠り机に向かって難しい顔をしている。
今日も日本トップクラスの難関大学の奇問悪門に四苦八苦している、といった所であろう。
都内でも有数の進学校に通っているとはいえ、中学生が解く問題ではない。
しかし、ものの数分も経てば、彼は設問の本質を捉え、そして閃き、ペンを走らせ、正答へとたどり着くだろう。
私には手を付ける事さえ億劫になってしまうような難問も、彼にとっては赤子の手を捻るよりも容易いものなのだ。


本当に憎い。カッターナイフを握りしめた右手に力が入る。
小さく開けたドアの隙間から覗き見える、挫折を知らない背中が何よりも憎い。
私は大きく息を呼吸を置いて、もう一度洋一の後ろ姿を眺めた。
瞼を下ろし、その背中に握ったカッターの突き立つ姿を想像する。
迸る鮮血、驚き震える洋一の怯えた眼。そして私はそれを落ち着いた気持ちで眺めている。


それは手にとる事が出来そうな程にリアルだった。
大丈夫だ、私は今日、初めて洋一に勝利する。

2 - 核撃てば尊師 2013/07/10(水) 01:00:45 ID:jXLJj63q

洋一は何でも出来た。
それは大袈裟な表現や行きすぎた誇張ではなく、彼は本当に何でも出来る人間だったのだ。
頭の回転が速く、勉強はもちろん得意で、ユーモアがあり話も面白い。
私は彼よりも一つ年上だが、腕っぷしも強く、兄弟喧嘩で勝った事は一度もない。
運動神経は抜群で、地元のサッカーチームでは一年生にして早くも試合に出場することがあるらしいし、
彼に告白してきた彼女は芸能事務所に所属していて、時折テレビのCMや雑誌に顔を出す。


私にない全てを彼は持っていて、そして私は悲惨な程になにも持っていなかった。

3 - 核撃てば尊師 2013/07/10(水) 01:01:00 ID:jXLJj63q

洋一は完璧な自分に自惚れる様子はない。
どんなにテストの成績が良くても、野球でどんなに活躍しても、自慢はしないし、
私がどんなに至らないかを知りながら、嫌味を言う事も無い。


私と話すときは私の低さまで目線を下げて話を合わせる。


私は悔しかった。彼は良い奴には違いないのだろう。
ただ私には、その折られた膝が、下げられた目線が、屈辱以外の何物でもなかったのだ。


「お前の弟って凄いんだろ?なんでお前はそんなんなんだよ」クラスメイトの声。
「洋一は本当に凄いなあ!…貴洋も、まあ、もう少し頑張れよ」父の声。
「お前はダメな奴だ。生まれてくるべきじゃなかった。もうどうしようもないよ」僕自身の声。


私は学校に通うのをやめた。声を出すこともやめた。誰も私に寄り付かなくなった。

4 - 核撃てば尊師 (sage) 2013/07/10(水) 01:15:12 ID:ZUk7/RFZ

唐澤貴洋は小人か何か?

5 - 核撃てば尊師 2013/07/10(水) 01:17:28 ID:wGsxXE5Z

これすき

6 - 核撃てば尊師 (sage) 2013/07/10(水) 01:25:35 ID:k9fT79tZ

続きあくしろよ

7 - 核撃てば尊師 2013/07/10(水) 01:57:45 ID:lXb6wV9P

再録いいゾ〜

8 - 核撃てば尊師 2013/07/10(水) 02:56:34 ID:wb59QSfb

洋「二人も育てるのメンドいわwwちょい唐澤貴洋、洋一殺すから肉食べろ。そうすれば実質二人育てたようなもんだしw」

9 - 核撃てば尊師 2013/07/10(水) 04:33:27 ID:RqiUK0ea

>>8
死ね

10 - 核撃てば尊師 2013/07/11(木) 07:59:48 ID:Ogt02bQv

相変わらず雨は激しいが、風はそれほど強くはない。明日の朝には台風一過となっているだろう。
洋一は嬉しそうにコロッケの入ったスーパーの袋を手に前を歩く。時間も午後8時を過ぎ、周りには人の気配はない。もちろん計画通りだった。
目的の用水路に差し掛かった。用水路は溢れんばかりの濁流や枝切れ、原形を留めないゴミが轟音を上げながら流れている。
そして傘を差したまま、貴洋は洋一を用水路の中へ突き落とした。しかし洋一はなんとか片手で用水路の縁に掴まり、声にならない声で兄に助けを求める。
貴洋は今にも濁流に飲まれんとしている洋一の手に、自分の手を重ねた。すがるようにもがく洋一。
洋一の手を伝ってだろうか、様々な思い出が脳裏をよぎる。洋一はたった一人の、弟だ。でも…
貴洋は覚悟を決めた。

「ごめんよ、洋一」

降りしきる雨の中、洋一の小さな手が用水路の濁流の中に消えていく。
つい先程まで洋一の温もりを感じていた指先も、今は冷たい雨で濡れるだけだ。もう洋一の姿は見えない。

「生きるためには、仕方なかったんだ…」

ああ… 何故こんなにも自分は無力なんだ…。 その瞬間、唐澤少年は弁護士になることを決意した。

11 - 核撃てば尊師 2013/07/11(木) 08:13:48 ID:vOvLUKWw

その瞬間、唐澤少年は弁護士になることを決意した。
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12 - 核撃てば尊師 2013/07/11(木) 10:08:14 ID:RulrFhK6

弟殺しと弁護士がどう繋がるのか
自問自答する日々。

13 - 核撃てば尊師 (sage) 2013/07/11(木) 10:29:45 ID:M1SmkEIF

野球とサッカーの二刀流

14 - 核撃てば尊師 2013/07/11(木) 10:52:36 ID:pIRFeMPK

文芸路線で昔面白いのあったんやけど誰かログ持ってないかな
やたら文才あるやつで
勉強してる洋一の所に尊師が行って殺そうとするんやけど、洋一はその事に気付いてて
尊師に自分が持ってるコンプレックスを打ち明けるみたいなの

15 - 核撃てば尊師 2013/07/11(木) 17:07:38 ID:rL67jwTn

>>14
唐澤貴洋ポケモンwikiにあるで