793 - ゆぱー! (sage) 2016/01/04(月) 05:57:59 ID:pCewBwPw
291 無名王 2015/12/25(金) 14:41:13 ID:hJNoLxbk0
2-3 「艦隊これくしょん」との出会い
高校生活とネットとの出会いを経て取り返しのつかないレベルまで小関直哉は歪みました。 自己正当化と自己防衛と勘違いの為に果てしなく自己像は膨らみ、対人コミュニケーション能力は既に障害と言ってもいいレベルに達していました。 ですがまだ最後の運命的な邂逅が待っていました。
ブラウザゲーム「艦隊これくしょん」との出会いです。 そしてこれが彼を決定的な破滅へと追いやることになりました。
更に彼はこの頃になると自己顕示欲発散の場としてTwitterを利用するようになっていました。
Twitterと艦これの化学反応の威力は小関直哉にとってまさに悪魔的とも言えるものでした。
Twitterのタイムラインやアフィブログ、攻略wikiで流れて来る旧日本軍の感動的なエピソードは小関直哉の日本への帰属心(=小関直哉の自尊心)を絶え間なくくすぐりました。
そしてまたTwitter上の艦これクラスタに所属したことで彼の自己認識能力は完全に崩壊しました。 当時は艦これの絶世期、彼ら艦これファンはコンテンツに反対的な人間を容赦無く数の暴力で粉砕し、あるいはネタツイートで痛快にあげつらい、あらゆる反論を封殺していきました。 そんな集団に所属していた小関直哉は自分の正当性を揺るぎないものと信じて疑わなくなりました。
更に致命的なことに、これで小関直哉の攻撃性もますます進化してしまい、かつて恩を受けた空想大戦スレの「ドミニア」氏すらあしざまに陰で罵倒するようになりました。
更に更に小関直哉にとってTwitterはとことん魔物でした。 有名人と対等に話すことができるツールにもなったからです。 彼は界隈で有名なアカウントに次々接触を図っていくようになります。 自分の生み出した「コンテンツのようなもの」が、それなりのコンテンツ生産者のコンテンツと同種のものであるかのように勘違いした彼は容赦なく有名人にリプライを飛ばし続けました。 そうして返ってきた社交辞令は、彼にとって何よりの自己肥大化の材料となりました。
艦これとの出会いで、彼の中身は数十万人とも言われる艦これファンの中でも屈指の怪物と化しました。
しかしこの生活を続けていたある日、彼はとうとうとある異質な集団と出会います。 ご存知、恒心教徒です。
MMD杯は、艦隊これくしょんやニコニコ動画の運営が公式に開催しているイベントでは無く、いち動画サイトの片隅で開かれる単なる趣味イベントです。 恒心教徒がいくら場を席巻したところで、彼の居場所にほとんど影響は無かったでしょうし、彼はランキングなど関係なく投稿された艦これの動画を純粋に楽しめばよいだけでした。
しかし彼はこう考えました。
「今までも艦これファンは邪魔者を叩き潰してきた、大丈夫、痛快に反対勢力を破滅させたあの有名アカウントみたいに、艦これファンのみんなが味方してくれるはずだ」
小関直哉は今まで自分が有名人並の人望を積み上げてきたと本気で考えていました。
彼は事件前、決行を幾度か仄めかしました。
しかし彼を止める者は、いやそれに反応する者はいませんでした。
ネット上ですら対等な関係の友人を作れなかった彼を見ている人間は誰もいませんでした。
そうして二〇一五年三月八日午前七時九分、小関直哉はついに底辺の一般人を卒業することとなったのでした。