562 - 唐睾睾睾 2014/01/09(木) 18:36:05 ID:2zKTg5rI0
2 原告の主張
(1)割増賃金の支払請求について
ア 割増賃金の額
原告は,被告らに雇用されている間,被告らの明示又は黙示の業務命令に基づいて,別紙「出退勤時刻等一覧表」の「通常残業時間」欄記載のとおりの時間外労働(深夜労働,法定休日労働を除く。以下同じ。)に従事し,同「深夜残業時間」欄記載のとおりの深夜労働に従事し,同「休日労働時間」欄記載のとおりの法定休日労働に従事した。それぞれの時間は,時間外労働が合計661時間40分,深夜労働が合計102時間48分,法定休日労働が合計9時間である。
上記の時間外労働,深夜労働及び法定休日労働についての労働基準法37条1項,4項及び労働基準法施行規則20条1項に基づく割増賃金の額は,次の計算式のとおり,時間外労働についての分が合計172万0333円,深夜労働についての分が合計32万0736円,法定休日労働についての分が合計2万5272円であり,これらの合計206万6341円のうち201万4333円がいまだ支払われていない。
したがって,被告らが原告に対して支払うべき割増賃金の額は,201万4333円である。
(計算式)
〔1〕1年における1か月平均所定労働時間
(365日−122日)×8時間÷12か月=162時間
〔2〕1時間当たりの賃金
給与月額33万7000円÷上記〔1〕162時間=2080円(切捨て)
〔3〕時間外労働についての割増賃金額
(661時間+40分÷60分)×上記〔2〕2080円×1.25=172万0333円
〔4〕深夜労働についての割増賃金額
(102時間+48分÷60分)×上記〔2〕2080円×1.5=32万0736円
〔5〕法定休日労働についての割増賃金
9時間×上記〔2〕2080円×1.35=2万5272円
イ 時間外労働についての割増賃金の支払請求(原告に対する専門業務型裁量労働制の適用の有無)について
被告らは,原告について,「税理士の業務」を行う者として労働基準法38条の3所定の専門業務型裁量労働制が適用されることを前提に,被告らが原告に対し時間外労働についての割増賃金を支払義務を負わない旨を主張する。
しかし,同条の3第1項1号は,専門業務型裁量労働制の対象となる業務について,「業務の性質上その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため,当該業務の遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をすることが困難なもの」と定めており,その業務が高度に専門的な能力を必要とするものであることが不可欠である。そして,同号,労働基準法施行規則24条の2の2及び平成14年厚生労働省告示第22号において,「税理士の業務」が専門業務型裁量労働制の対象とされたのは,その業務が高度に専門的な能力を必要とするものであり,そのことが法律上の国家資格という最も明確な形で担保されていることに基づく。前記告示に関する通達(平成14年基発第0213002号)が,「税理士の業務」について,法令に基づいて税理士の業務とされている業務をいうとするのも,当該業務が法令上税理士しか行い得ないとされていること(税理士法52条)を前提とするものである。そうすると,税理士でない者,すなわち,税理士となる資格を有さず,税理士名簿への登録を受けていない者は,「税理士の業務」を行い得ず,その者に専門業務型裁量労働制を適用することはできないというべきであるから,原告には専門業務型裁量労働制が適用されない。