559 - 唐睾睾睾 2014/01/09(木) 18:35:12 ID:L/DU0nnI0
イ そこで,本件投稿を一般の読者の普通の注意と読み方とを基準に判断すると,本件投稿のうち,原告が指摘する「英検だったか漢検だったかの不正合格」という記載は,本件スレッドのタイトルと併せて読めば,学習塾である教育指導研究会において検定試験で不正なことをして生徒を合格させたという事実を摘示することにより,教育指導研究会の社会的評価を低下させるものと認められる。
また,本件投稿のうち,原告が指摘する「盗聴器事件」という記載については,必ずしも明確ではないものの,本件スレッドのタイトル及び前後の文脈等も考慮すれば,学習塾である教育指導研究会において盗聴器が仕掛けられる事件があったという事実を摘示することにより,教育指導研究会の社会的評価を低下させるものと一応認められる。
そして,教育指導研究会は原告が個人で営む学習塾であるから,教育指導研究会の名誉を毀損することは,すなわち,原告の名誉を毀損するものと認めるのが相当であり,本件投稿の中で原告の個人名が明らかにされることは必要ではないというべきである。
ウ よって,本件投稿により,原告の権利(名誉権)が侵害されていると認められる。
(2)違法性阻却事由の存在を窺わせる事情の不存在について
ア 民事上の不法行為たる名誉毀損については,その行為が公共の利害に関する事実に係り,専ら公益を図る目的に出た場合には,摘示された事実の重要な部分につき真実であることが証明されたときは,上記行為には違法性がなく,不法行為は成立しないものと解するのが相当であり,もし,上記事実が真実であることが証明されなくても,その行為者においてその事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があるときには,上記行為には故意もしくは過失がなく,結局,不法行為は成立しないものと解するのが相当である(最高裁昭和41年6月23日第一小法廷判決・民集20巻5号1118頁参照)。
イ これを本件についてみるに,子供の教育に関わる学習塾に関する本件投稿は,公共の利害に関する事実に係り,専ら公益を図る目的に出たものと認める余地があるといえる。
しかしながら,本件記録上,教育指導研究会が検定試験で不正なことをして生徒を合格させたり検定試験の合格実績をねつ造した事実を窺わせる証拠は見当たらない。
なお,証拠(乙1)によれば,教育指導研究会については,過去にもインターネット掲示板で「合格実績ねつ造」という書き込みがなされたことが認められるものの,これをもって「英検だったか漢検だったかの不正合格」という事実の重要な部分につき真実であることが証明されたということはできず,本件投稿者において上記重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があるということもできない。
他方,「盗聴器事件」という記載については,前記第2の1(3)に記載した事実を前提とすれば,教育指導研究会が講師の了解なく授業を録音した事実が認められることからすれば,摘示された事実の重要な部分につき真実であるか,または,本件投稿者においてその事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当の理由があった可能性があり,違法性阻却事由の存在を窺わせる事情が存在しないことを認めるに足りないというべきである。
(3)以上によれば,本件投稿のうち「英検だったか漢検だったかの不正合格」という記載については,原告の権利を侵害することが明らかであると認められることになる。
3 よって,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第7部
裁判官 大須賀綾子
別紙 情報目録
(別紙)発信者情報目録
別紙情報目録記載の投稿日時における別紙情報目録記載のドコモUIMカード(FOMAカード)製造番号の契約者についての次の情報
1 氏名又は名称
2 住所
以上