552 - 唐睾睾睾 2014/01/09(木) 18:32:18 ID:L/DU0nnI0
ク P15家との間の地代が月額1万円(増額後は2万円)という点についても,少なくとも地代月額を1万円と設定した時点(昭和46年以前であると思われる。)においては,当時の経済情勢に照らし,相応の金額であったと推認されるから,地代の設定時点においては所有者の取る行動として不合理なものではない。また,その後に地代がほとんど増額していない点については,当事者間の交渉による地代の増減は,単純に経済的な見地からのみ決定されるものではなく,貸主と借主の人的関係や交渉経過等にも影響されるものであって,増額がされていないことのみから,貸主が,土地所有の意思を有していないことが推認されるとはいえず,他に原告が土地所有の意思を有していないがために地代を増額しなかったことをうかがわせる証拠もない。
ケ 平成22年の本訴原告代理人からの相続分譲渡証の作成の依頼も,原告に本件各土地の登記名義を移転させるための便法としての,無償での相続分譲渡証の作成方を依頼しているのは明らかであって,原告が所有者ではないことを前提とした行動とはいえない。
コ してみると,被告らが,原告の所有の意思を否定する事情として指摘するものは,いずれもその事実が認められないか,あるいは,所有の意思を否定するには足りないものであって,これらを総合考慮しても,原告の所有の意思を否定するには足りない。
(3)よって,原告は,所有の意思をもって,本件各土地を占有していたものであるといえるところ,原告は,平成23年12月10日に被告らに到達した本件訴状により,本件各土地についての取得時効を援用するとの意思表示をしたから,本件各土地を時効取得した。
4 結論
以上の次第で,原告の請求は理由があるからこれを認容することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第16部
裁判官 野村武範
別紙 物件目録
1 所在 世田谷区α×丁目
地番 b番c
地目 宅地
地積 149.28平方メートル
P5の持分 3分の1
2 所在 世田谷区α×丁目
地番 e番f
地目 宅地
地積 72.19平方メートル