545 - 唐睾睾睾 2014/01/09(木) 18:30:19 ID:U7buchRs0
エ 本件IPアドレスは,株式会社JCN関東(以下「JCN関東」という。)が管理するIPアドレスであることが判明し,原告代理人は,平成23年12月25日,同社に対して,発信者情報開示請求を行ったが,当初,拒絶されたことから,発信者情報開示訴訟を提起すべく,その前提として,本件IPアドレスの契約者情報を保存してもらうため発信者情報消去禁止の仮処分を申し立てた。同事件は,JCN関東が契約者情報を保管することで和解が成立した。その後,JCN関東から,被告の父であるX5が本件IPアドレスについての契約者情報であると伝えられた。
オ その後,被告や上記X5は,原告及び原告の父母に対し,本件記事は,被告が投稿したものであることを認めた。
2 争点
(1)争点1(社会的評価の低下の有無)
(原告の主張)
本件記事は,当時,原告が通っていたX7中学校及び所属学年を示し,原告の氏名を明示した上で,一般の読者に,原告が誰とでも性交渉する性的道徳観念の希薄な人物であると誤信させるものであり,原告の社会的評価を著しく低下させるものである。
(被告の主張)
争う。
(2)争点2(損害)
(原告の主張)
名誉毀損による精神的苦痛に対する慰謝料等300万円(本件記事の発信者を特定するために必要であった調査費用74万8054円を含む)及び弁護士費用30万円(上記慰謝料の1割相当額)の合計330万円の損害が発生している。
(被告の主張)
損害の発生は不知,被告に支払義務があることは争う。
第3 当裁判所の判断
1 争点1(社会的評価の低下の有無)について
本件記事は,不特定かつ多数の者が閲覧可能であるインターネット掲示板である2ちゃんねるにおいて,原告の氏名,所属を特定した上で,原告の性的道徳観念が希薄な人物であることをうかがわせる内容を記載したものであるから,本件投稿が原告の社会的評価を低下させることは明らかである。
したがって,被告が本件記事を投稿したことは,原告に対する不法行為に当たり,被告は,これに基づき原告に生じた損害を賠償する責めを負う。
2 争点2(損害)について
(1)本件記事投稿の悪質性に関する事情
被告は,原告とは直接会話したことはないものの,同じX9塾に通っていたところ,原告が通学するX7の生徒から「今度来たX1という子がブログやってるから見てみて」と言われ,原告が公開していたブログ(以下「原告ブログ」という。)を見たもののよい印象を持たず,また,原告の知人からも原告の悪い噂を聞くなどして,今度みんなで原告ブログにコメントを入れたり投稿したりしようという話になったこともあり,平成○○年○月に入り,原告ブログに「○○高(ある男子校の名前)の奴ら,早く2ちゃんにさらさないかな」という内容の記事を発見した際に,「暇だから書いてあげようか」とコメントを入れると,同月○日午前×時ころ,原告ブログに「本人がやらないと意味ない」という旨のコメントが返されていたことから,自分で原告をさらしてしまおうと考え,本件記事を投稿したと主張する。
他方で,原告は,被告がよい印象を持たないような記事を原告ブログには掲載していない旨主張し,陳述(甲10)しており,また,本人が自分のブログを2ちゃんねるにさらしてほしいとする記事を掲載することは不自然であって,第三者が原告ブログに不正アクセスした可能性があると主張している。
原告,被告ともに,当時,中学生ということもあり,当時の状況や心情を正確に把握することは困難というほかなく,また,原告ブログの記載内容についても,当時のブログ記事はもはや残っておらず(弁論の全趣旨),詳細については定かではないが,本件記事には「調子に乗ってる」,「ナルシな」,「自分で2chに晒されたい〜暇だから。的なブログwあいたたた」といった記載があることからすると,少なくとも,被告は,原告ブログの存在を知って,その内容について反感を持ち,嫌がらせの目的で本件記事の投稿に至ったものと認めるのが相当である。
次に,原告は本件事案の悪質性を裏付ける事情として,本件同種投稿の存在を主張し,これらも,被告が行ったものと考えられる旨主張する。確かに,午前×時という深夜の時間帯にもかかわらず,非常に近接して,同じような内容の記事が投稿されており,同一人による投稿であるかもしくは意思を通じた者らによる投稿であることが強く推認されるが,3つの投稿は,投稿毎のIDが異なっており,まったく無関係に行われたという可能性もないわけではないし,その内容は,原告の名誉を毀損するようなものとは言い難い。そうすると,いずれにしても,本件同種投稿により本件記事投稿の悪質性が高まるものと認めることはできない。