529 - 唐睾睾睾 2014/01/09(木) 18:20:54 ID:WI1/d9DU0
2 争点及び争点に関する当事者の主張
(1)本件記事は,原告の社会的評価を低下させるか(争点(1))。
(原告の主張)
本件道場に師範は原告一人しかいないから,本件記事にいう「師範」が原告を意味することは明らかである。そして,本件記事の内容は,「師範」が躁うつ病である旨を摘示するものであり,「師範」が精神的に不安定であり,本件道場の経営者や空手の指導者として不適格であるとの印象を抱かせるものといえるから,原告の社会的評価を低下させる。
(被告の主張)
原告の主張は否認する。
本件記事には師範という段位しか記載されておらず,本件記事の師範が原告を意味するとは判断できない。また,単に躁うつ病である旨摘示したからといって,一般の閲覧者が原告について道場の経営者として,あるいは空手の指導者として不適格であると考えるとまではいえず,原告の社会的評価が低下するとはいえない。
(2)本件記事の内容が真実であること又は本件投稿者がそれを真実と信じたことに相当な理由があることをうかがわせる事情は存在しないか(争点(2))。
(原告の主張)
原告が躁うつ病であること,又は本件投稿者が原告が躁うつ病であると信じたことに相当な理由があることをうかがわせる事情はない。
(被告の主張)
原告の主張は否認する。
本件投稿者は,本件投稿を行う以前から,本件道場の関係者複数人から,原告が躁うつ病であると聞いたことがあり,原告が躁うつ病であることに関する不満又は疑問を指摘する投稿がされているのを確認していた。
したがって,原告が躁うつ病であることは真実であり,仮にそうでないとしても,本件投稿者がそのように信じたことには相当の理由がある。
(3)本件記事が公共の利害に関し,かつ,本件記事の投稿の目的が専ら公益を図るものであることをうかがわせる事情は存在しないか(争点(3))。
(原告の主張)
本件記事は,私人の精神状況や道場での指導の在り方についての描写であり,それが公共の利害に関するものであることやその投稿の目的が専ら公益を図るものであることをうかがわせる事情はない。
(被告の主張)
原告の主張は否認する。
本件道場は,愛知県下最大級の空手団体であり,NPO法人全世界空手道連盟新極真会に属する愛知県唯一の道場としてその公式ホームページでも紹介されており,原告は,空手競技の全国大会で多数回の優勝経験がある有名選手であり,原告による道場経営又は空手指導の内容に関心を持つ門下生等が多数に及び,その出演するDVDが発表されるなど,準公人的な立場にあるから,本件記事の内容は,公共の利害に関するものである。また,本件記事の投稿は原告の道場経営の改善を希望する意図でされたものであるから,その目的は,専ら公益を図ることにあった。