523 - 唐睾睾睾 2014/01/09(木) 18:16:23 ID:WI1/d9DU0
(被告の主張)
ア 原告に対する名誉毀損が明らかとはいえないこと
本件各投稿記事はいずれも原告の社会的評価を低下させるものではない。
まず,本件各投稿記事には「B3師範」といったごくありふれた姓及び段位や,「検索」という氏名には通常用いない字が記載されているにすぎず,これが原告を示すと直ちに判断することはできない。
次に,本件各投稿記事のうち,[1],[3]及び[4]の各記事については,現在,鬱病は医学的に適切な治療を受ければその症状を緩和ないし抑制することが可能であり,これに罹っていても通常の社会生活を送ることは十分可能である。したがって,ある者が鬱病に罹っているとの事実は,その者に空手道場の経営者ないし指導者としての適格性がないことを意味するものではない。したがって,上記各記事が,一般の閲覧者をして,原告が道場の経営者又は指導者として不適格との印象を与えるものではなく,原告の社会的評価を低下させるものではない。
また,[2]の記事の「普通じゃない」との表現は,極めてあいまいな表現であり,不貞関係にあるとの意味を含むものとは解されない。むしろ,この表現は「両名が,通常の師範と門下生という間柄にしては親密そうである」という程度の本件発信者個人の印象を述べたにすぎず,一般の閲覧者にもそのようにしか読めない。したがって,[2]の記事から,原告とB4選手が不貞関係にあるとの内容を読み取ることは不可能であり,同記事が原告の社会的評価を低下させるものではない。
イ 違法性阻却事由の不存在が明らかとはいえないこと
本件発信者の回答によれば,原告は,全日本大会で多数回の優勝経験があり,空手を学ぶ者で知らない者はいないほどの有名人とのことである。また,αは,愛知県下最大級の空手団体であり,県内に50近くの空手道場を有し,門下生は数百又はそれ以上に及び,年齢層も年少者から年配者まで広範囲にわたるとのことである。そして,特に年少者の育成に力を注いでおり,その父兄を含めると,道場経営や指導内容に関心を持つ者は相当の多人数に及ぶものと考えられる。したがって,原告は準公人的な立場にあり,本件各投稿記事はそのような多数の者が関心を寄せる原告の現在の状況について記述したものであるから,公共の利害に関する事実に係るというべきである。
また,上記回答によれば,本件各投稿記事は,以前から本件ウェブサイトの掲示板に原告の指導の在り方に関する疑問や不満の声が投稿されてきたこと,αにおいては原告による直接の指導を受けられることは通常ないという実態があることを踏まえて,原告が特定の優秀な選手のみを集中的に指導し,原告の指導が道場に十分行き届いていないことが問題であると考え,道場経営の改善を希望する意図で行ったものであり,専ら公益を図る目的で行ったものである。
さらに,本件発信者は,本件各投稿記事に関する情報を複数の関係者等から入手して投稿に及んだのであり,その内容は真実であり,仮に真実でないとしても真実と信じたことに相当の理由がある。