522 - 唐睾睾睾 2014/01/09(木) 18:16:08 ID:WI1/d9DU0
(5)被告は,本件発信者の氏名,住所等の発信者情報を保有している。
(6)被告が,本件訴訟係属後に,本件発信者に対し,法4条2項に基づき,開示の同意の有無,同意しない場合はその理由について意見照会をしたところ,本件発信者から,開示に同意しないとして,理由について具体的に記述した回答書が提出された。本件における被告の主張はこれを踏まえてされたものである(乙1,4,弁論の全趣旨)。
3 争点及び当事者の主張
(1)被告の開示関係役務提供者該当性(法4条1項柱書)
(原告の主張)
被告は法4条1項に定める開示関係役務提供者に該当し,発信者情報開示請求の相手方となる。
(被告の主張)
争う。被告のようないわゆる経由プロバイダ(特定電気通信の発信者とコンテンツプロバイダとの間の1対1の通信を媒介するにすぎないプロバイダ)は,開示関係役務提供者に該当しない。
(2)権利侵害の明白性(法4条1項1号)
(原告の主張)
ア 原告に対する名誉毀損
[1]及び[3]の記事は,「さいきん,B3師範の鬱病はどうなの?」,「検索の鬱はどうなの?」などと記述するものであり,一般の閲覧者の普通の注意と読み方を基準として読むと,αの師範である原告(B1)が鬱病に罹っており,精神的に不安定で道場の経営者及び指導者として不適格であるとの印象を与え,原告の社会的評価を低下させるものである。
[2]の記事は,原告の道場に通い世界大会で優勝したB4選手と原告とが「やばい雰囲気だったよ」とか,「普通じゃないね」とか,「嫁は見てなかったのか」などと記述し,一般の閲覧者をして,原告とB4選手が不貞関係ないし恋愛関係にあるとの印象を与え,原告の社会的評価を低下させるものである。
[4]の記事は,「鬱だからというより」として,原告が「鬱」であることを前提とした上,「指導をよく休む」とか,「我慢をするというのができない」とか,「怠け癖」がある,「責任感がない」などと記述するものであり,一般の閲覧者をして,原告がまともに道場の経営に当たっていないとの印象を与え,原告の社会的評価を低下させるものである。
なお,被告は,本件各投稿記事の対象とされた「B3師範」や「検索」が,原告を示しているとは直ちに判断できないとも主張するが,αにおける師範は,B1,すなわち原告ただ1人しか存在しない。また,インターネット上で特定人を誹謗中傷するときは当て字が用いられるのが一般的であり,「けんさく」という呼び名を有しているのは原告しかいないことからすると,「検索」が原告を指していることは明らかである。
イ 違法性阻却事由の不存在
名誉毀損における違法性阻却の要件のうち,公共の利害に関する事実とは,不特定多数人が関心を寄せてしかるべき事実をいい,単なる興味あるいは好奇心の対象となるにすぎないものを含むものではないところ(東京地判平成13年9月5日判時1773号104頁参照),確かに原告は氏名が特定多数の者には知れ渡っているが,公的な地位に就いているわけでもなく,原告の精神状態や道場生との関係が不特定多数人の利害に関するとはいえない。また,原告の精神状態や道場生との関係につき特定多数の者の関心があるとしても,それは単なる好奇心にすぎず,正当な関心とはいえない。したがって,本件各投稿記事の対象とされた事実は公共の利害に関する事実とはいえない。
そして,原告の精神状態や道場生との関係を公表することによって,何ら公益の増進が図られるものでなく,目的の公益性もない。
さらに,本件各投稿記事によって摘示された事実はいずれも真実でない。