510 - 唐睾睾睾 2014/01/09(木) 17:59:33 ID:lSxB63cc0
第2 事案の概要
以下,原告(反訴被告)aを「原告」,被告(反訴原告)ヒタチ株式会社を「被告」という。
1 本件は,被告を解雇された原告が,解雇が無効であるとして,労働契約上の地位の確認とバックペイの支払を求め,また,配転打診から始まる被告の一方的な振る舞いは,重い持病で苦しむ原告が安心して主治医のもとで療養を受ける環境を破壊するものであり,これにより精神的損害を被ったとして慰謝料300万円の支払を求め,さらに,被告の対応によって原告は源泉徴収票を受領することができなかった慰謝料等として300万円の支払を求める事案(本訴事案)と,被告が,原告に対し,従業員の社宅として転貸借している別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)について,解雇によって原告が従業員としての地位及び転借権を失ったものとして,本件建物の明渡しと,解雇日以後の賃料相当額の不当利得返還を求める事案(反訴事案)である。
2 争いのない事実等(以下の事実は,当事者間に争いがないか,掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる。)
(1)被告は,貨物自動車運送業等を業とする株式会社である(甲1)。
(2)原告は,平成16年10月17日,被告に入社し,d営業所に配属された(甲92,93 以下,原告と被告の間で締結された労働契約を「本件労働契約」という。)。その後,平成17年2月17日,e営業所(静岡県富士宮市所在)に異動した(甲3)。
(3)被告は,平成22年9月30日,原告に対して,同年11月1日付けでe営業所からf営業所(さいたま市β区所在)への配転を命じた(以下「本件配転命令」という。甲10,乙8)が,原告は本件配転命令を拒否した。
(4)被告は,平成23年4月28日,原告に通知書(甲94,乙9)を交付し,同年5月25日までのf営業所への配転を再度命じると共に,これに従わない場合については,同月31日付けで解雇すると予告した。その後も原告はf営業所への配転に従わず,被告は,同日,原告を諭旨解雇した(以下「本件解雇」という。甲2,乙1)。
(5)就業規則(甲12,乙10)
9条(人事異動)
1項 会社は,業務の都合により従業員に対して職場もしくは職務の変更,転勤およびその他の人事上の異動を命ずることがある。
2,3項 略
54条(服務の基本原則)
会社の事業目的は少数精鋭により,顧客に常に最高のサービスを提供することである。従って従業員は,この規則に定めるものの他,業務上の指揮命令に従い事故の業務に専念し,作業効率の向上に努めるとともに互いに協力して職場の秩序を維持しなければならない。
84条(懲戒の種類)
1項 懲戒は,次の6種類とする。
1ないし4号 略
5号 諭旨解雇・・・予告期間を設けるか,または予告手当を支給して解雇する。この場合,退職金を支給しない場合がある。
6号 略
2項 略
87条(懲戒処分その3)
従業員が,次の各号の1に該当するときは,諭旨解雇とする。ただし,情状により出勤停止,または降職・降格に止めることがある。
1,2号 略
3号 故意に会社の諸規則,または指示・命令に違反し,職場の秩序を乱したとき。
4号以下 略
(6)原告は,被告が賃借する本件建物に居住している(甲95,114の1ないし114の10,乙2)。
(7)原告は,平成11年9月から「うつ状態」として小沢メンタルクリニックで入院治療を受けるなどし,その後も継続的に「うつ状態」「うつ病」として通院治療を受け,平成17年5月から「反応性うつ病,不眠症」の病名で,南富士病院において通院治療を受けている(甲13,111)。
(8)原告は,本件解雇が無効であるとして,平成23年7月,静岡地方裁判所富士支部に地位保全等の仮処分を申し立てた(静岡地方裁判所富士支部平成23年(ヨ)第13号 地位保全等仮処分命令申立事件)が棄却され(甲92),これに対して特別抗告を申し立てた(東京高等裁判所決定平成23年(ラ)第1966号 地位保全等仮処分命令申立却下に対する抗告事件)が棄却された(甲93)。
(9)訴状の送達
ア 原告は,訴状をもって,本訴を提起し,同訴状は,平成24年7月6日,被告に送達された。
イ 被告は,反訴状をもって,反訴を提起し,同反訴状は,平成24年9月26日,原告に送達された。