500 - 唐睾睾睾 2014/01/08(水) 18:40:42 ID:pK8tZTy.0
《全 文》
【文献番号】25498447
発信者情報開示請求事件
東京地方裁判所平成24年(ワ)第19073号
平成24年10月26日民事第32部判決
口頭弁論終結日 平成24年9月7日
判 決
原告 X1
原告 X2
原告両名訴訟代理人弁護士 唐澤貴洋
被告 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
同代表者代表取締役 X3
同訴訟代理人弁護士 五島丈裕
主 文
1 被告は,原告らに対し,別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
主文同旨
第2 事案の概要
本件は,原告らが,氏名不詳者がインターネット上の電子掲示板にした記事の投稿により名誉を毀損されたとして,当該投稿についてインターネット接続サービスを提供したいわゆる経由プロバイダである被告に対し,特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4条1項に基づき,当該氏名不詳者に係る発信者情報の開示を求める事案である。
1 前提となる事実
以下の各事実については,証拠等を掲記した事実は当該証拠等によりこれを認め,その余の事実は当事者間に争いがない。
(1)当事者
ア 原告X2(以下「原告X2」という。)は,平成19年に東京藝術大学(以下「東京芸大」という。)音楽学部邦楽科教授に就任し,平成24年3月末に定年退官するまで同教授の地位にあり,退官以後は邦楽囃子の演奏家をしている(甲6)。
イ 原告X1(以下「原告X1」という。)は,在日韓国人であり,平成10年4月に東京芸大音楽学部邦楽別科邦楽囃子(小鼓)専攻に入学し,邦楽囃子を専攻して平成19年3月に博士課程を修了し,平成22年4月から平成24年3月末まで東京芸大音楽学部邦楽科で非常勤講師を務めていたが、原告X2の退官に伴い,選考を経て東京芸大の准教授に就任した(甲5,甲8)。
ウ 被告は,電気通信事業を目的とする株式会社である。
(2)インターネット上のウェブサイトである電子掲示板(http://www.2ch.net)(以下「本件ウェブサイト」という。)に,いわゆるスレッドが作成され,氏名不詳者により別紙投稿記事目録記載の投稿記事(以下「本件記事」という。)が投稿されて掲載され,不特定多数の人の閲覧に供された(以下,本件記事を投稿した氏名不詳者を「本件発信者」という。)。
(3)原告X1は,本件ウェブサイトの管理者であるパケットモンスターインク ピーティーイー エルティーディ(PACKET MONSTER INC.PTE.LTD.)を債務者として,本件記事の投稿に係る発信者情報開示の仮処分を申し立て,平成○○年○月○○日付けの仮処分命令に基づき,本件記事の投稿に使用された別紙投稿記事目録記載のIPアドレス等の開示を受けた(甲2,弁論の全趣旨)。
(4)被告は,本件記事の投稿についてインターネット接続サービスを提供したいわゆる経由プロバイダであり,上記IPアドレスの使用者である本件発信者の住所,氏名,メールアドレス等の情報を保有している。
(5)原告らは,本件発信者に対し,名誉毀損による権利侵害を理由として,不法行為に基づく損害賠償請求等を準備している(弁論の全趣旨)。
2 原告らの主張
(1)本件記事における記載の対象
本件記事において記載の対象となっているのは原告らである。本件記事には「芸大の邦楽科のMという教授」,「在日の女性R」との記載があるが,これはそれぞれ原告X2,原告X1を指すものである。
(2)本件記事による原告らの名誉毀損
本件記事は,原告X2が原告X1といわゆる不倫関係にあるとの真実に反する事実を摘示し,原告らの社会的評価を低下させ,その名誉を毀損するものである。また,本件記事は,読者に対し,原告X2が大学の人事を私物化しており,原告X1がこのような私物化がなければ准教授に就任することができない人物であるとの印象を与え,原告らの名誉を毀損するものである。
本件記事に記載されているのは男女の私的関係であり,公益目的は観念し得ず,公共の利害に関するものでもない。