【唐澤貴洋殺す】雑談★94【石〇粘着】【中洲旅行】【のび太の新恐竜】 (1001)

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491 - [´・ω・`] tor-exit-58.for-privacy.net 2024/08/08(木) 22:22:47.01 ID:sVFOIls10

 個人的に思うことなので他人がそれを否定しようと知ったことではないのだが、私は、五郎の横顔を眺めると、美しいと感じいってしまう。
 白磁のような額、すっと通った鼻梁、切れ長の眼にそれを縁取るまつげ、肉のうすく淡い色をした唇、鋭角に過ぎず、かといってゆるやか過ぎない頤。それらを結ぶ一つの線が、まるで画境を極めた禅僧が、突きつめた一筆で描く線のように美しい。
 夏のじりじりと肌を焼く太陽の下、同じ年頃の少年たちは馬場に集まり弓の鍛錬をしている。たまたま遭遇した私は、十数人いるなかからすぐに五郎を見つけてしまった。
 その目敏さに我ながら自嘲する。
 五郎は遠くの的に狙いを定め、弓を引いている。そのまっすぐな視線に、魅入ってしまっていた。
 すべてを貫くような眼差し。美しくもあるが、恐ろしくもあった。
 どうしよう。
 不意に、五郎に触れたいと思ってしまった自分に戸惑う。
 触れようと思えば触れられる。おおよその願いはすべてかなえられる身だ。
 一言、告げればいい。
 その一言を拒める人間は、この山口ではなかなかいないのだから。
 私はのどを大きく動かし、唾を飲み込んだ。
 閨での五郎は、最初、いつも顔を背けている。私の視線に捕らわれることを逃れるようにだ。私に組み敷かれ、私の愛撫に感じまいと必死で顔を背ける。その横顔を眺めるのが、好きだった。身悶え、声を押し殺しながら快楽に耐え忍ぶ姿を……。
 白昼堂々と、そんな想いにとらわれる自分にどうしようもなさを感じる。それでも、私は意を決して五郎を呼んだ。
 五郎ははっと私の声に気付き、こちらを振り向く。
 あぁ。美しい横顔が消えてしまった。
 残念な想いと、今宵存分に楽しめばいいではないかという想いが、私のなかに渦巻いた。