191 - 一般カタルーニャ人 2021/06/23(水) 14:04:25.20 ID:uR7VGTC20
私は其人を常に>196と呼んでいた。だから此処でもただ>196と書く丈で本名は打ち明けない。是は世間を憚かる遠慮というよりも、其方が私にとって自然だからである。私は其人の記憶を呼び起すごとに、すぐ「>196」と云いたくなる。筆をとっても心得は同じ事である。余所々々しい>197抔はとても使う気にならない。
私が>196と知り合になったのは>198である。其時私はまだ若々しい>199であった。暑中休暇を利用して>200に行った>201から是非来いという端書を受取ったので、私は多少の金を工面して、出掛る事にした。私は金に工面に二三日を費やした。所が私が>198に着いて三日と経(た)たないうちに、私を呼び寄せた>201は、急に>202から帰れと云う電報を受け取った。