86 - 一般カタルーニャ人 (sage) 2021/09/09(木) 12:34:35.17 ID:x7L9IWzB0
俺は、今の生活に満足している。
と、言っても、別に俺は大金持ちな訳でもなけりゃ、何か特別な才能がある訳でもない普通の会社員だ。
ただ、ちょっとした会社に勤めて、周りの奴らよりちょっとばかし多めに給料を貰って、そこそこのマンションに住んで、割と上司にも気に入られてて、気の合う友人も何人かいる。
その程度の幸せだが、これでも何の才能やら産まれやらに恵まれなかった
ただの凡才である俺が、俺自身の努力で勝ち取ったものだと胸を張って言える。
自分の今のポストも、このマンションの一室も、信頼も、
全て、誰かとのレースに勝った俺のためのトロフィーな訳だ。
〜時代劇としての高速道路〜
マンションのベランダから見える高速道路。
俺は、この眠らない高速道路を眺めるのが好きだ。
昼も夜も、絶えず車が流れ続ける高速道路。
鋼鉄とゴムと油で出来た赤血球を運ぶ大動脈。
その夜は何故だか寝付けなかった。
特にやりたい事も無かったから、流れる車列でも見て眠くなるのを待とうかと思い、俺はベランダの手すりに腕をかけた。
流れる光の粒をぼんやりと見つめながら、最近の自分を顧みる。