183 - 核撃てば尊師 2013/05/08(水) 13:47:25 ID:x7iejfiQ0
1 風吹けば名無し[] 投稿日:2012/10/08 05:56:17 ID:4AhVMpwJ(1)
草木も眠る丑三つ時、五反田にある某墓地に連続して響き渡る打撃音
その音の主は他でもない、唐澤である
彼は青春時代に弟を失って以来、こうして毎晩愛する弟の墓前に立ち、手刀を繰り出すのだ
左足を軸に全身を回転させ、鞭のようにしならせた腕が墓石へと真っ直ぐに振り下ろされる
何度も、何度も
無力な自分という現実から逃れる為なのか、弟を守れなかった自分を罰する為なのか
その理由は、えぐれた彼の腕から流れ出す血と共に流れ、忘却の彼方へと消えていった
何度目か分からない手刀が繰り出された時、突如として墓石に亀裂が走り、音を立てて崩れ去った
肩を喘がせながら、傷ついた腕を庇う事なく彼は崩れた墓石の中から何かを拾い上げる
朝日を浴びて煌めくそれは、参禅と輝く弁護士バッジだった