【唐澤貴洋殺す】雑談★6 (1000)

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661 - 核撃てば尊師 (sage) 2013/04/17(水) 15:20:10 ID:w1KMw0bY0

「ねぇ、ぼく全部しってるよ。兄ちゃん、お願い顔をあげて」
若い雪のように清廉だった少年の頭髪は抜け落ち、頬は削げ、その目に光は無かった。
「だれも、だれも悪くないんだ。ぼくは、うんがわるかったんだよ」
弟は知っていたのだ。自分の寿命は、最後の頼みに間に合わないことを。
激痛に体を蝕まれながらも兄を心配する弟を前にして、上げられる顔は無かった。
(ぼくは、何もして上げられないナリ。どうしたらいいナリ…。)
『金なら有る、頼む息子を助けてくれ――』
父は全国を奔走し、ついに丸山ワクチンを投与してくれる医者に出会えた。
しかし、全てが遅かった。弟は製薬会社の傀儡のような医者の下で間違った治療を続けられ、
ワクチンの存在を明かされずに弟は飼い殺しにされ時間をチャンスを奪われた。
時期が悪かったのか、司法が曲がっていたのか、全てが黒く染められていた。弟は、死んだ。
暗闇に落ちた青春時代、最後に出合ったのは電脳だった。