319 - 名無しさん 2023/03/22(水) 12:15:07 ID:+2cybfxfp4
本拠地、エンゼル・スタジアム・オブ・アナハイムで迎えたアストロズ戦
先発サンドバルが大量失点、打線も勢いを見せず惨敗だった
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「今年は100敗だな」の声
無言で帰り始める選手達の中、トラウトは独りベンチで泣いていた
WBCで手にできなかった栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるチームメイト・・・
それを今のエンゼルスで得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」トラウトは悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、トラウトははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たいベンチの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、帰ってトレーニングをしなくちゃな」トラウトは苦笑しながら呟いた
立ち上がって伸びをした時、トラウトはふと気付いた
「あれ・・・?お客さんがいる・・・?」
ベンチから飛び出したトラウトが目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにエンゼルスの応援歌が響いていた
どういうことか分からずに呆然とするトラウトの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「マイク、守備練習だ、早く行くぞ」声の方に振り返ったトラウトは目を疑った
「す・・・スミス?」 「なんだキッド、居眠りでもしてたのか?」
「こ・・・コロラドのバードさん?」 「なんだトラウト、かってにバードさんをロッキーズに幽閉させやがって」
「ベッツ・・・」 トラウトは半分パニックになりながらスコアボードを見上げた
1番:ベッツ 2番:トラウト 3番:ゴールドシュミット 4番:アレナド 5番:タッカー 6番:内川 7番:リアルミュート 8番:ターナー 9番:マルティネス
暫時、唖然としていたトラウトだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった。
「勝てる・・・勝てるんだ!」
ケングリフィーJrからグラブを受け取り、グラウンドへ全力疾走するトラウト、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった…
翌日、ベンチで冷たくなっているトラウトが発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った